「他人の野心のために死にたくない」 国境に押し寄せるロシア男性、動員令で窮状

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フィンランドの空港に到着し、ロシア・サンクトペテルブルクからのバスから降りる乗客=24日/Jussi Nukari/Lehtikuva/AFP/Getty Images

フィンランドの空港に到着し、ロシア・サンクトペテルブルクからのバスから降りる乗客=24日/Jussi Nukari/Lehtikuva/AFP/Getty Images

ロシア政府はこうした国民の反応を「ヒステリックで感情的過ぎる反応」とあざ笑った。

60歳以下の男性は誰もが招集される不安に駆られているが、動員は特に貧困地域や少数民族が多い地域に偏っている。自由ブリヤート財団の代表は、「ブリヤート共和国では動員は部分的ではない。誰もが動員されている。招集状は学生にも、年金生活者にも、たくさんの子どもがいる父親にも、障害者にも届いている」と証言した。ガソリンスタンドにいたところ、突如として通りかかった徴兵バスに押し込まれて連れ去られたタクシー運転手もいたという。

ロシア国内に残る男性も外出に慎重になっている。サンクトペテルブルク在住のキリルさん(27)は、転居を考えていると打ち明けた。「戦争へ行くことも刑務所へ行くことも、できれば避けたい」というキリルさんはウクライナ人のハーフ。戦争に行ってウクライナ人を殺害することなど想像できないと語った。

国外滞在中に動員令のニュースを聞いたという人もいる。イリヤさん(35)は家族と共に休暇でトルコに滞在中、ロシア国内にいる同僚から、オフィスに自分宛ての招集状が届いたことを知らされた。

妻と子どもはロシアに帰国したが、イリヤさんはトルコに残った。「私は戦争は望まない。他人の野心のために死にたくない」と訴えるイリヤさん。「家族にいつ再会できるか分からない」と肩を落とす。

イリヤさんは何年も前、ロシア軍にいたことがあるため予備役とみなされる。「途方に暮れて、どうすればいいのかも、遠く離れた家族をどう養えばいいのかも分からない。突然の決断を強いられて多額の借金を抱え、ただ精神的に疲れ果てた」

ロシア政府がウクライナで戦争を始めて以来、対ロシア経済制裁によって国際取引はほぼ不可能になった。イリヤさんは、家族と再会したいと語った。

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